精子提供を取り巻く状況と展望

精子提供を取り巻く状況と今後の展望について、過去記事の紹介も交えて解説します。

投稿日: 2023年01月26日

精子提供を取り巻く状況と展望

精子提供が必要とされる背景

現代社会において、精子提供による妊娠や出産を望む人がいます。理由は 1 つだけではなく、以下に列挙する理由が代表的なものです。

  • 男性不妊
  • LGBTQ(性的マイノリティ)カップル
  • 選択的シングルマザー

これらの理由とそれぞれに関係のある概念について、本記事は簡潔に、紹介する個別の記事ではより詳しくまとめています。

男性不妊と AID

無精子症などによって夫の精子による妊娠が見込めない場合、国内では第三者の精子を用いた不妊治療である AID をいくつかの医療施設で受けることができます。

当然ながら安易に選択できる治療方法ではなく、医療施設によって細かい条件は異なりますが倫理委員会の審査や他に方法がないことの証明(診断書など)が必要になります。

選択的シングルマザーという生き方

選択的シングルマザーとは、自身の意思でシングルマザーを選択する経済的、精神的に自立した母親を指した言葉です。以下のような理由から選択的シングルマザーを選択します。

  • 結婚はしたくないが子どもはほしい
  • 結婚したい相手がいない
  • 自身の年齢やキャリアプランを考慮
  • 親権が母親のみになる

選択的シングルマザーになるための意思と自立が両立すれば、精子提供を受けて妊娠、出産を経て選択的シングルマザーになれます。 ただし、男性不妊の場合は受けられた AID 治療が独身女性には適用されないのが国内の原則になっています。

子どもを望む LGBTQ+(性的マイノリティ)

レズビアンやトランスジェンダーのカップルで、1 人以上が生物学的に妊娠できる女性である場合、精子提供によって子供を授かることができます。 日本では同性婚が認められておらず、独身女性と同様に同性カップルには AID 治療が適用されないのが現状です。

個人間精子提供の課題

上述の LGBTQ+、選択的シングルマザーが法整備の進まない中で子どもを持つために、個人間での精子提供をインターネット上で求めるようになってきました。 男性不妊のケースであっても保険適用のない高額な医療費が負担となり、最後の手段として選択することもあります。

AID に存在する制約は存在しない一方、AID には無かった様々なリスクが個人間精子提供にはあります。

海外で広がる商業的精子バンクの利用

精子バンクの利用を検討する女性

欧米を中心に同性カップルや独身女性でも利用可能な精子バンクが増えています。倫理的な問題を抱えつつも、子どもを持ちたい人の需要に答える形で法整備や事業化が進み、利用者数が拡大しています。

日本国内で精子バンク立ち上げの動き

生殖補助医療で出生した子の親子関係を明確にする民法の特例法が 2020 年に成立し、日本産科婦人科学会が第三者の精子提供による生殖補助医療に対して前向きな発表を行いました。 この発表以降、数は少ないですがいわゆる精子バンクを立ち上げる動きがいくつか出てきました。

出自を知る権利と法整備の行方

第三者の配偶子利用を際限なく認めることは商業化の懸念や倫理的な問題につながります。 人それぞれの立場や考え方がある中で、憲法に掲げられた基本的人権の保障の観点からどのような制度設計、法整備を進めていくのかが問われています。

日本国内では 超党派での生殖補助医療立法の法案について、議論が行われています。いわゆる「出自を知る権利」をどのように保障するかが課題となっています。

議論には慎重さを求められる一方で、現行制度で包摂されない人々が今も公的な手段で子どもを望めず、様々な不安やリスクに直面しているのも事実です。

今後の展望

精子提供とそれを必要とする人々の存在が報道などで世間に認識されはじめ、子どもを持ちたいという望みに対する法整備の必要性が明らかになってきました。 法整備がいつ、どのように行われるのか次第にはなりますが、海外と同様に、少しずつではありますが法整備や社会の精子提供に対する捉え方の変化が進んでいくように思います。

進展がない場合は個人間精子提供の広がりとそれに伴うリスクは顕在化し続け、公的な手段による妊娠、出産を望めない選択的シングルマザーや同性カップルに残された手段は当サイトや海外の精子バンクなど限られたものになってしまいます。

倫理的な問題や生まれる子どもの福祉に対する落としどころを見出すのは大変ですが、社会の仕組みや価値観が多様性を認め、精子提供による出生を広く受け入れられるようになることを願っています。

当サイトの役割

当サイトは本記事で解説させていただいた背景を含めた様々な理由から精子提供を希望する方に、生まれてくる子どもの福祉と妊娠を望む人の安全・安心を尊重した形で精子ドナーを紹介、仲介しています。



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