獨協医科大学が精子バンク立ち上げへ
獨協医科大学が国内で初となる精子バンクを立ち上げるようです。取り巻く現状を交えながら考察します。
投稿日: 2021年05月26日
更新日: 2021年06月21日
国内初の精子バンクが立ち上がる見込み
以前から国内の精子バンクに相当する存在として慶応大学病院で人工授精が行われていましたが、ドナーが確保できずに新規受け入れを中止している状態でした。
SNS などリスク管理が不十分なまま精子の取り引きをするケースを問題視しており、適切な治療を受けられる患者を増やすことが目的で、年 500 件の提供を目標にしています。
今回、獨協医科大学が精子バンクを始めることで、男性不妊で AID(非配偶者間人工授精) を検討している方に新たな選択肢が登場することになります。
また、立ち上げるにあたって、20 歳 ~ 40 歳の医療関係者に限ってドナーを募集するようです。
男性不妊以外のケースへの提供は
日本国内の登録施設において、性的マイノリティー、選択的シングルマザーへの不妊治療、精子提供は対象外であるという認識が一般的となっています。 残念ながら獨協医科大学の立ち上げる精子バンクでもこの方針は変わらないものと思われます。
性的マイノリティー、選択的シングルマザーの精子提供については当サイトの以下の記事をそれぞれ参考にしてください。
医療機関の不妊治療にリスクはあるか
精子バンクについては、精子のすり替え、ドナー情報の偽りなど、海外で実際にトラブルが発生してしまっています。 とはいえいずれも海外の事例であり、実績から求める確率論的な話になってしまいますが、これらのようなトラブルに国内の不妊治療で遭遇する可能性は非常に低いものと思われます。
所感
国内の精子バンクの存在は、条件が合えば個人精子提供者よりも有望な選択肢になることは間違いありません。男性不妊の助けとなる動きであり、不妊治療への関心の高まりにも期待したいところです。
出自を知る権利に関するルール作り、ガイドライン化についても進展があるかもしれません。どのような枠組み、運用になるのか、今後の動きに注目です。